旧商法では「株式会社」の商号を持つ会社は必然的に取締役3人以上、監査役1人以上、資本金1000万円以上の要件を備えることになっていました。
つまり他の会社組織に比べ組織や規模の信用度が高い=株式会社 という図式でした。
ところが、会社法施行により株式会社の要件は、資本金規制無し、取締役1人以上に緩和され、「株式会社」の商号を持った取締役1人の「個人」と変わらない会社が乱立しています。
今後は会社の信用度は「株式会社」の商号ではなく登記簿謄本に記載された取締役の数や資本金の額など会社組織の内容が重視される時代になると予想されます。
「株式会社」の名前で融資が受けやすいという感覚は過去のものとなります。
会社法で取締役1人の株式会社が乱立する中、「取締役会設置株式会社」は設立時に会社組織や規模の面からの信用度において、他社との差別化を図ることになります。
新たに設立された会社で10年後に存続している確率は10%〜20%、20年後に存続している確率は5%〜10%といわれています。
設立会社のうちの優秀な10%に入った会社は少なくとも90%の他社と比べ何かが優れていることになります。
それは、参入市場の見極めかもしれません。その会社にしかできない技術かもしれません。あるいは新しい分野での1位の地位を築いたのかもしれません。
いずれにしても、「90%の他社との差別化に成功した」ということができます。
例えば取締役1人、資本金1円の株式会社と取締役3人、監査役1人、資本金1000万の株式会社を比べると、資金力・規模・組織体制・信用全てにおいてすでに差別化してスタートしているといえます。
さらに、会社の目標を目先の節税などではなく、会社の成長・事業拡大に置き、そのための経営を着々と進めることが出来るならば、その会社は全体の10%に入ることができるのではないでしょうか。
毎期利益計上・納税・内部留保・配当・増資・設備投資・事業拡大・・・・というのが会社を運営していく上での目標となります。
目先の節税にとらわれることよりも、本業の成功に向けてのビジネスプランを優先することが大切で、獲得利益の40%は税金コストとして最初から計画に織り込んでいなければ、事業の拡大は難しくなります。
取締役を複数置くことで経営者の業務分掌をはかり、少なくとも取締役1人の会社よりも優位に事業を進めることが出来ます。
事業拡大の際の増資等は第三者へのアピールが必要で、組織・規模・資金力・ビジネスプランを兼ね備えた株式会社にしていくためには、スタート時から将来を見据えた機関設計が望ましいと言えます。
先に述べたように対外的な信用度は取締役会非設置会社より優れます。
また、何人かで株を持ち合うことにより、不利な税制が適用される同族会社の規定の適用対象から外れます。
資本金、株主構成、経営権、税金面、定款記載事項、資金繰り・・・
補助金や助成金を受けるためのチェックはお済みですか?
新会社法施行で、安く・早く・簡単に会社設立をあおる傾向がありますが、そのような設立はお勧めできません。
特に、取締役会設置株式会社等でスタートしようとするならば、専門知識を持った司法書士や税理士、社会保険労務士に相談することをお勧めします。
経営者が最低限知っておくべき事項、設立前に相談しておかないと手遅れになる税務・法務・労務・助成金関係の事項はたくさんあります。
設立は将来の成功に向けての大事なスタートです。
専門家への相談コストも必要経費と考えてみてはいかがでしょうか。